幾霜::残日録::2008/12/18 (木)

 

移籍先を探しています。系統樹推定法やメタバーコーディング法などに詳しい研究者を探している方がおられましたらご一報下さい。

2008/12/18 (木)

[Science] LineageSpecificSeqgen: generating sequence data with lineage-specific variation in the proportion of variable sites - 22:04:05

 系統推定のもう一つの大きな問題は系統樹全体に単一の分子進化モデルを当てはめていることだ。Long Branch Attractionの最大の原因は、おそらくこの点にある。というのも、分子進化パターンが系統樹内の特定の枝で急激に変化した際に、枝長が過大評価されてLBAが起きると思われるからだ。ならばそういうモデルを当てはめればいいはずなのだが、計算上そう簡単ではない。何しろどこで変化したのかを事前に知ることはできないからだ。

 そのため、系統樹上で分子進化パターンが変化するとき、単一の分子進化モデルを系統樹全体に当てはめるとどのような影響があるのかを知る必要がある。しかし、これまではそのような条件下でデータを生成することができるソフトウェアが無かったため研究が容易ではなかった。それを(一部)解決するのがこのソフトなのだと思われる。

[Science] Phylogenetic Uncertainty and Molecular Clock Calibrations: A case study of legless lizards (Pygopodidae, Gekkota) - 19:23:59

 従来の分岐年代推定では、多くの場合系統樹の樹形は固定した解析がなされてきたが、これでは推定された分岐年代の不確実性に樹形の不確実性が織り込まれなくなってしまい、不確実性を過小評価してしまう可能性がある。ということを検証し、実際にそれがあることを示した論文。

 実は私も同じことを考えていて(もしかしたら前にも書いたかもしれません)、いずれ検証する必要があると思っていたのですが、表題の論文の著者たちに先を越されてしまいました。この論文を見つけて残念でもあり嬉しくもあり。

 さて、系統推定では、他にも「とりあえずこれを固定して解析」ということが頻繁に行われているため、「隠れた不確実性」がたくさんあります。それこそが現在の系統推定法が抱える最大の問題点です。

 例えば、多くの場合アライメント後に系統推定を行いますが、この方法ではアライメントの不確実性は系統推定に織り込まれていません。もちろんモデル選択もそうですし、モデル選択の不確実性も系統推定に織り込まれていません。モデル選択の不確実性をモデル平均化でしのごうとする動きもありますが、私はモデル平均化がまともになされているとは思っていませんし平均化によって不確実性の問題が回避できるとも思いません。

 これらの問題を回避するには、アライメント・モデル選択・系統推定・分岐年代推定・データパーティショニング最適化を全て同時に行うことが一つの解決策となるでしょう。そして、それを実現するための鍵がBayesian MCMCだと私は見ています。「系統推定と別の一つ」の統合を実現したものは既にいくつかあり、それらは皆Bayesian MCMCを用いています。現実的な計算量で統合を実現するにはこれしか方法が無いのです(たぶん)。現在、MLへの回帰が起きていますが、再度Bayesianへの揺り戻しが必ず来ると思います。

[Life] 発射!! - 16:33:30

 西の国へ向けて発射しました。電子投稿なのでもう着弾しているはず。あとは返事待ち。というわけで次行ってみよー。

[Software] PDF/PSファイルをJPEGに変換する - 06:50:07

 プレゼンスライドなどをJPEGにしてデジカメに放り込んでおけば、非常用のサブプレゼンマシンになる。というわけでPDF/PSファイルをJPEGに変換する方法を記しておく。

 まず、GhostScriptとGSViewをインストールする。Windows用ならRing Serverなどに置かれている(GhostScriptGSView)。

 次に、出力したいファイルをGSViewで開き(開けない場合はこのエントリの方法では無理)、「File→Convert」を選択。Deviceは「jpeg」または「jpeggray」とし、解像度、出力ページを適当に設定して「OK」を押す。

 すると、出力ファイル名を尋ねられるので「out%03d.jpg」などと指定する。「%03d」が連番の数字に置き換えられて複数ページを複数のJPEG画像ファイルに分割して出力できる。

 こうして作成したファイルを保存したメディアをデジカメに挿して、AV出力すればプレゼンが可能。コンポジットやS端子の無いプロジェクターはあまり無いだろうから、低解像度ならまず確実に映せる。最近のデジカメではHDMIやコンポーネント出力があるので、プロジェクターにそれらの入力があるなら高解像度の投影もできる。凝った再生機能のあるデジカメを使えば凝ったプレゼンも可能だろう。

[Life] 準備完了 - 02:04:01

 次の論文の準備が完了。でもカバレタに自信が無いので念のため先生にチェックしてもらうことに。それが終わる前にいくつかやるべきことをやろう。

追記 - 04:17:43
 先生からものすごい早さで返答。なんでこんな時間に起きてるんですか!!

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