幾霜::残日録::2007/03/27 (火)

 

移籍先を探しています。系統樹推定法やメタバーコーディング法などに詳しい研究者を探している方がおられましたらご一報下さい。

2007/03/27 (火)

[Topics] 植木等さん死去 - 21:28:10

 なにーーーっ!! 三重県民の星が!! 今後の名古屋嫁入り物語はどうなる!

[Science] むしむしコラム・おーどーこん [とある昆虫研究者のメモ] - 20:40:50

 ずいぶんゆるいタイトルできたなぁ。カシノナガキクイムシが亜社会性昆虫とは知らなかった。キクイムシには真社会性のものもいるとは。しかし樹木の集団枯死が本当に悪いことなのかどうか、よく考える必要があるんじゃないでしょうか。大径木が優先的に枯死するのなら人間による利用と大差無いかもしれない。実際には小径木も枯死するんだろうし付近の樹木が軒並み全滅というのは良くはないんだろうけど、人間による利用と違って枯死した樹木の分解が進行して新たに定着する樹木の栄養源になるというプラス作用もありそうですから一概にマイナスとも言い切れなさそうな。とは言え集団枯死があまりにも多すぎる感はあります。大径木をガンガン切っていくしかないんでしょうかね。

[Life|Science] 解析結果 - 15:32:07

 Acceptance Rateが低いなーと思いましたが、分子進化モデルのパラメータは低いけれども枝長はそれなりに乱れているようなのでよしとする。樹形はダメダメですが、樹形制約を与えているし系統推定が目的ではないのでまぁいいや。系列交換試行も隣接系列間はちゃんとひっくり返っているので問題無し(というか試行してないはずのところで0.0000…になるのが謎)。

[Life] 吊し滴 - 10:26:11

吊し滴

 明日開けます。夜8時から鍋を突きつついただく予定。研究室でやりますので飲みたい方は来て下さい。うすにごりなので澱が沈んだ状態で一杯やってから混ぜて飲むつもりです。

[Life|Science] 生態学会感想 - 10:17:04

 系統樹を使った研究が激増。なんなんだこの増えようは! というくらい大激増。昨年は系統樹が示されている研究が非常に少なく、なんか肩身が狭かったんですけど今年は進化とか分子以外でもガンガン使われていて系統屋としては非常に嬉しい。系統樹に限らず分子マーカーということならさらに大量の発表がありました。

 ポスター賞は昨年よりだいぶレベルアップしている気がしました。ただ、なんらかの現象を発見した研究は評価されず、発見されている現象の理由を解明した研究が評価されている傾向を感じました。現象を発見してその理由も解明しているのは最高なんですが、上記の2者なら等しく重要なはず。供給は評価されず消費ばかりが評価されている状態とでも言いましょうか。消費型の研究ばかり増やしてしまいかねませんが、それはあまり良いことではないのではないでしょうか。関連することですが、取り組む前から明瞭な結論が得られることが丸わかりなコンパクトにまとまった研究が高く評価されているのも今年に限らずずっと感じています。研究余地の大きい、けれども困難なテーマに挑んだ研究は明瞭な結果を示せず評価されないというのは生態学会的にはいいのでしょうか。私はそんな学会であって欲しくはないのですけど。

 驚いたこと。先日も書きましたが北大のN田先生が茶髪でかっちょえーメガネになっていたこと。あとS井先生に初めて向こうから挨拶されたこと。学内ですれ違った際に挨拶してもいつも「誰だコイツ?」という感じで睨まれるだけだった(うちの先生もそうらしいので誰にでもそうなんでしょう)のについに憶えられたのか!? と思いましたが翌日こちらから挨拶したらやっぱりそんな反応でした。あの挨拶は何だったんだろう・・・。

[Life|Science] 03/22 生態学会4日目以降 - 06:27:17

活鯛飯御膳

 朝食後、朝風呂を宿の内湯で。この日の午前中は研究室の3人で松山城へ。この日が松山最後の日。宿もチェックアウト。

 城へ向かう前にハイカラ通りでいよかんソフトクリームをいただく。旅先でご当地ソフトを食べるのは私の定番です。そのまま会場まで行き、クロークで荷物を預けて松山城へ。

 この数日歩きまくって足が痛いのでロープウェイで登ろうということで、券を買う。ところが、リフトもあるということでそれを利用。私がリフト嫌いなのでわざと選びやがった(注: 大昔、私はスキー場のリフトで膝カックンになって乗り損ね、それがリフトへのネガティブイメージになっている)。リフトの下に松山市各所で見かける「君の速さで歩いてゆけばいい」というくさいキャッチコピーがでかでかと書いてあった。妙に印象に残ったので、今日の送別会で送り出されるM3への寄せ書きで書いてやった(笑)。

 松山城ではヨウコウというヒガンザクラ系の品種が満開で、メジロが群れて留まっていたのですが、近付きすぎたためズームしているうちに逃げられました。天守閣はわざわざお金を払って入らなくてもむしろ外から眺めるだけの方がいいやということで見上げつつ下り始める。下りの道でアリを探し始めるアリ屋一匹。しかし北西側斜面だったのであまり見つからなかったようです。

 そのまま県庁方面へ歩き、「鮮魚旬菜 吉」にて昼食。活鯛飯御膳で¥1,260。懇親会で出た鯛飯は北部風の炊き込みご飯でしたが、これは南部風の刺身をのせたもの。たれをかけて真ん中の卵を割ってかき混ぜながらいただきます。膳とは別に春山豆腐なる物を注文。桜入りのピンク色のお豆腐でした。春らしくて良いですね。いずれもかなりうまかった。座敷よりカウンターがお薦めです。

 食後は歩いて会場へ行きポスター巡り。まずはP3-055「コミカンソウ科における送粉様式の多様性と進化」。コミカンソウ科の植物と送粉を媒介するホソガの系統比較による送粉様式の進化史推定。OTUが多いせいだとは思いますが最節約法でしか系統推定していない。それは仕方ないとしても植物は最節約樹形群の厳密合意樹を示しているのにホソガは最節約樹形群の多数決合意樹になっているのが気持ち悪い。二重基準に見えてしまうし、統一されていたとしても最節約樹形群の多数決合意樹ってーのはちょっと・・・。せっかくブートストラップしているんですからブートストラップの重み付け多数決合意樹を示せばいいのに。で、その樹形の枝長を最尤法で推定してNPRSで分岐年代を推定し、ホソガの共通祖先が現れる年代が植物よりずっと新しいと述べている。NPRSの是非はともかくとして信頼区間を示して欲しいですね。少なくともホソガの樹形の怪しさを考慮すればこの分岐年代推定はかなり怪しい。と言っても議論の部分を覆すほどではないとは思います。だからこそ議論の基盤となっている解析結果をなぜもっと頑健なものにしないのか。非常にもったいない。樹形を固定して分岐年代推定するなら最低95%以上の信頼性を持つ樹形を使うべきだし、樹形のブートストラップ解析結果を流用して分岐年代推定し、コンセンサスを採る方法もある。もっとも、そこまでやっている研究は滅多にありませんけど、あるべきレベルだと思う。

 次はP3-194「分子系統樹でたどるオトシブミ科の植物加工の進化」。オトシブミ科昆虫による植物加工行動の進化史を系統樹とそれに基づく祖先形質復元から推定。これは素材の勝利ですね。しかし議論がちょっと。系統樹を見る限りイクビチョッキリ属とオトシブミの単系統性は強く支持されているとは言えない(追記: イクビチョッキリ属とオトシブミ類がそれぞれ単系統、という意味ならOKですね。なんて紛らわしい表現)。葉巻行動が独立に進化したということもあまり強く支持されているようには見えない(まぁ「示唆された」という表現なのでこれは可)。素材はすごく面白い生物ですから、研究の進展に期待。

 P3-211「西南日本に分布するササユリの蛇紋岩植物ジンショウユリの系統分化」。超塩基性岩地帯への適応パターンを進化史から探る研究。タイトルには書かれていませんがミヤマアズマギクでも調べていました。ミヤマアズマギクの系統解析は最節約法とベイズ法なのに信頼性は最節約法のブートストラップのみっていうのが気になったり。書いてないよりマシですが。ササユリの方はマイクロサテライト5遺伝子座でPairwise Fstから近隣結合樹を推定・・・ってものすごく気持ち悪い方法ですね。で、系統解析の結果から超塩基性岩地帯への適応は各地で独立に起こっていると結論。アズマギクの方は良いとしてもササユリの方は方法がダメすぎてどうしようもない。こういう目的ならマイクロサテライトよりもAFLPで大量の遺伝子座でデータをとった方が良いのでは(実際P3-217「生育環境が異なるスミレ属2種における系統地理」はAFLPで500以上の遺伝子座を使っていた)。あと、三重県民としては菅島の地図上の場所が間違っていたのに憤慨(笑)。もしかしたら地図上の位置にもう一つ別の菅島があるというオチかもしれませんが。まぁ方法論はともかくとして、この研究で重要なのは「超塩基性岩地帯でも生育する能力」なんですが、系統樹上に配置しているのはサンプリング地点であって能力ではない。故に非超塩基性岩地帯に生育する個体にその能力が無いのかどうかが議論に決定的に重要なんですが、その辺はきっちり明らかにされているのでしょうかね。そこを訊きたかったんですが私が行くといつも発表者がいなかったので結局訊けなかった。まぁ多分すでにそういうことは生理生態の人によって明らかにされているんじゃないかと思いますが、想像の蓄積と二度聞きによる増幅で既成事実化しているだけということも往々にしてあるんですよね。

 最後にP3-220「膜翅目(ハチ・アリ類)に寄生するネジレバネの分子系統解析」。オスはアリに寄生し、メスが直翅目昆虫に寄生するアリネジレバネというのがいるのを初めて知る。ほへー、それは面白い。で、それがネジレバネのどこから分岐したのかをmtDNA COIによる分子系統解析によって調べている。仮説としてクシヒゲネジレバネ科から派生という説とネジレバネ科(ハチネジレバネ科)から派生という説を挙げ、系統解析からネジレバネ科から派生と結論している。が、系統解析にクシヒゲネジレバネが含まれてない!! 外群がエダヒゲネジレバネなんですがこれも妥当なのかよくわからない。アリネジレバネの枝が突出しているのも気になる。アリネジレバネと単系統になっているHalictoxenosが次に枝が長い。LBAくさい。

 ポスター会場を回っていると、北大のアイナメさんが最優秀賞だそうで。奇声を発して喜びを爆発させるアイナメさんを、K田研のY野君がデジカメで動画撮影。気付かずに奇声を発し続けるアイナメさん。いやー、ウケた。しかしこれ、群集生態やないよなぁ。

 6時からの最後の自由集会は小関さんが企画の一人のW24「生物の時間空間変動理解のための実証的・理論的アプローチ」。小関さんはギンザケにおけるジャックとカギバナというオスの二型頻度の時空間変化の解析。しかし目的と結論をもう忘れた(爆死)。自由集会は各発表の要旨が無いから思い出せないんですけど・・・と言い訳。納棺県・・・じゃなくて農環研の山村さんの発表はロダンとミケランジェロが出てきたことしか憶えてない。九大の佐々木先生(7月から総研大だそうで)の発表も動画をホヘーと眺めていたことしか。うーん、自由集会はメモをとるか重要なスライドを写真に撮っておかないとダメですね。

 自由集会後はサンプリング旅行の先輩との集合場所であるなか卯へ。夕食採ってコンビニで買い物して合流。あまり採れなかったらしく不機嫌。さらにサンプリングしながら東へ。最後の地点で10個体確保。そのまま高速で東へ東へ。大津辺りのサービスエリアで朝そばを食べて昼は海老名SAで焼きそばとたこ焼きとジャージー牛乳ソフト、夕食は宇都宮辺りで餃子4種類でした。夜10時過ぎに大学へ到着。

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