幾霜::残日録::2008/08/27 (水)

 

移籍先を探しています。系統樹推定法やメタバーコーディング法などに詳しい研究者を探している方がおられましたらご一報下さい。

2008/08/27 (水)

[Science] 「DNA分類」は何も解き明かさない - 17:18:43

 先日の進化学会で「DNA分類が解き明かす知らざれる生物多様性の姿」というワークショップがありました。既に書いたように、私は途中からしか聴いていないのですが、分類学者との認識の断絶を埋めるべく簡単に感想をここに記しておきたいと思います。

 まず、このワークショップはタイトルが間違っています。私が聴いていない部分は断言できませんが、私が聴かせていただいた丸山さんと亀田さんの話は、「DNA分類なるものによってこれまでは分からなかった多様性が明らかになった」という話ではありません。彼らの議論には「系統樹」があれば事足ります。つまり、「DNA分類」によって明らかになったのではなく、「系統樹」によって明らかになったのです。DNA分類はその系統情報を分類体系に還元するプロセスであると私は考えます。ですから、そもそもDNA分類は「明らかになった結果」であって、それが何かを明らかにすることなどあり得ないのです。丸山さんの話も亀田さんの話も、分類の話に入ったところから「こじつけ感」や「蛇足感」がありました。その理由がまさにこれです。彼らの議論に分類は必要無いのです。

 質疑において、「近縁な分類群でこれくらいの距離で別種とされているからこれも別種でいいと思う」という話がありました。その分類群が、どのような理由で、どのような種概念における別種とされているのか、それはどの程度一般性があるのか、そこまで明らかにしなければ根拠とは言えないでしょう。このような発言がまかり通るのが分類学なのか、と思ったのは私だけでしょうか。

 他にも質疑の話を聞いて「何かそれっぽい」感じの言葉であるはずなのに、意味を考えると全く理解できませんでした。徹夜明けの私の脳みそがついて行けなかっただけかもしれませんが、丸山さんは「最後の厳しい質問に対する企画者奥山さんの返答は秀逸だった」とおっしゃっていて、その認識の断絶っぷりに驚きました。

 結局、彼らの言う「DNA分類」は昔ながらの「系統分類」と一体どこが違ったのでしょうか。DNA分類は何を明らかにしたのでしょうか。私にはそれを理解することはできませんでした。冒頭の奥山さんの話を聴いていれば理解できたのでしょうか。最後の返答の意味不明っぷりからすれば、私にはとてもそのように思えないのですけど。

 私たちは、分類学と系統学の関係をもっと深く理解するand/or整理する必要があるのではないでしょうか。そのためには、あの場に仲田さんがいれば良かったのにな、と終わってから思ったのでした。議論の時間もほとんど確保できていなかったのが残念でなりませんでした。

[Software] R 2.7.2 is released - 16:05:58

 最新版2.7.2がリリース。あとで更新しとかんと。

[Music] Tales Of Series Battle Arrange Tracks - 15:25:21

 思わず買ってしまいましたが、これはハズレですね。残念。

[Software] 一太郎にまたしてもゼロデイ脆弱性 - 09:56:41

 一太郎はもしかすると「世界一ゼロデイ脆弱性の多いワープロソフト」かもしれない。日本の官公庁を狙って攻撃するには最適ですね。

[Book] よつばと! 8 - 09:09:57

 本日発売。今から買ってくる。

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