幾霜::残日録::2008/06/13 (金)

　「勝ち組」「負け組」という言葉が多用されるようになって久しい。多くの報道でそれぞれの内容は共通している。「幸福とはこういうものだ」「それは不幸なのだ」と喧伝され、「俺の幸福はこれなんだ」ということが容認されない社会が醸成されている。現代の幸福観の画一性は驚くばかりだ。

　そこに「負け組」から這い上がれるサクセスストーリーに意味は無い。何故なら決して這い上がれない人間は必ずいるからだ。何故なら成功する人間はごく一部の人間に過ぎないからだ。だから、「這い上がらなくてもいい」「そもそもあなたは底辺じゃないじゃないですか」「あなたは十分幸福じゃないですか」ということを「自分は不幸だと思いこんでいる」人に教えてやる必要がある。

　幸福とは何か。お金がたくさんあることか? 配偶者がいることか? 社会的地位や名誉か? 違うだろう。「本人が幸福だと思っていること」以外であるはずがない。が、それを周囲や社会は容認しない。こんなにも多様性の低い社会が頑健であるはずがない。頑健性とは、冗長性と多様性のみによって確保され得るものなのだ。IT技術者や生態学者にそれに異を唱える者はいなかろう。

　個人的には、10歩先とか10歩後ろとか、計れるような道を歩んでいるようではダメなんじゃないかと思う。というわけで、私は誰とも違う道を行きます。誰とも違う道だから、何歩先に進んだのか、何歩先に何歩後ろに何人いるのか、目的地はどこなのか、そもそも前はどっちなのか、全く分かりません。だからこそ面白い。

　Likelihood Ratchetの高速化について調べるために、まずはモデル選択を角さん参にて実行。8-core Mac Proで8並列動作させても遅い。うーむ。まだこの後、実際のLikelihood Ratchetの実行があるんですが・・・。

追記 - 12:09:20
　1レプリケートに20分くらいか? 100レプリケートなので1.4日くらいか。まぁ我慢しよう。

　うは、またマニアックな生物に手を出しとんなぁ。解析データが16S・18S・28Sなのでイヤーな感じがしたんですが、ちゃんと二次構造を考慮に入れたモデルを適用している。incongruenceは考えていないようですが。残念ながらガラス海綿類についてよく知らないので得られた結果の妥当性や面白さについて論評できないのですが、電顕画像が美しいのでご紹介。

　例のハンドブックは、結局色々と不足するものをソフトウェアとして実装する羽目になり、そちらを進めているため更新が停滞しています。ま、締め切りがあるわけでもないので、のんびり行こうと思います。

　ソフトの方は7割方実装が完了しています。せっかくなので論文として公表できるように準備していますが、おかげでクオリティを上げる必要に迫られて若干ペースダウンしています。機能的には並列系統推定とブートストラップリサンプラとギャップ情報のコード化がメインでしょうか。他にも細々したものを用意していますが。

　結局、毒論は角さんと分岐年代推定とこれになりそうです。incongruenceの新しい検定法は頑張れば自前でもできるのですがTreefinderの更新待ちといったところです。ま、そちらもそう遠くない未来にできると思うんですけどね。

　例の件、マスコミが謝罪を要求して犯人の代わりに両親に謝罪させたが、意味があるんだろうか。25歳の大人の犯行の責任を両親が負わなくてはならない理由は何一つ無いと思う。というか、両親が代わりに謝罪するなんてお門違いもいいところだ。マスコミが両親に謝罪を要求する図式はまさに弱い者虐め以外の何者でもないだろう。そんな社会こそがあのような犯罪を生む温床となったのではないのか? 犯人が反省すべきなのは言うまでも無いが、そんな社会にした我々に反省すべき点が無いわけがないだろう。

　本多氏と言えば「ぷらっとホームの名物おやじ」でした。私は本多通商時代を知りませんので「本多のオヤジ」＝「ぷらっとホーム社長」だったんです。

　ぷらっとホームと言えば知る人ぞ知る秋葉原のPC-UNIXユーザーの聖地でした。彼がいなければぷらっとホームは無かったし、もしかするとPC-UNIXの隆盛も無かったかもしれません(さすがにそれは言い過ぎかな)。

　私は彼にお会いしたことはありませんが、彼には大変お世話になったと勝手に思っています。というのも、私が愛用しているキーボード、FKB8579はおそらくぷらっとホームと彼がいなければこの世に存在しなかったでしょうから。今も3台のFKB8579を私は使っていますし、当分別のキーボードには乗り換えられそうにありません。何せ代わりになる製品が存在しないのですから。

　ぷらっとホームはずいぶん前に秋葉原の店舗を閉鎖し、USER'S SIDEも高速電脳も先日無くなってしまいました。秋葉原へ行く理由は残すところあと数店といったところでしょうか。電気街としての秋葉原も思えば遠くになってしまったものです。

　九天社倒産は中澤さんのところで知りましたが、必要な本は全て買っているはず、と思ってさして気に留めていませんでした。が、伊藤さんのところで件の本を発注したと書かれているのを見て「しまった! それがまだだった!」ということに気付き、私も先ほど発注をかけました。Amazonでは在庫が無いようでしたが、本やタウンでは在庫ありとのことでしたので迷わずポチっと。危なかった。

　すっかり忘れてましたが、申請書はちゃんと受理されていました。一応関係者にお礼も兼ねて報告しとくか。