幾霜::残日録::2005/10/28 (金)

 

移籍先を探しています。系統樹推定法やメタバーコーディング法などに詳しい研究者を探している方がおられましたらご一報下さい。

2005/10/28 (金)

書評 マンガでわかる統計学 回帰分析編 - 23:05:10

こうして並べて見ると前作の表紙の方が買い辛いな

 読了。うーん、私には特に理解に躓くところはありませんでしたが(既に知っているんだから当たり前だが)、前作を読んだだけの人には理解できないと思う。っていうか不可能。「まえがき」では前作を読了した人を対象として真っ先に挙げているんですが。以下、気になった点などいくつか。

●マンガでない部分がやはり多い
 前作でも気になった点です。前作は後半かなり苦しくなってきていました。今作では全体的に均等にマンガでない部分が散在している感じで、前作よりはだいぶ進歩してはいると思います。そもそも図表で説明できる内容が多いだけとも言えなくもないですが。

●説明や手法があまり一般的ではない?
 説明の仕方や用語の使い方、解説している手法の手順自体があまり私になじみのあるものではありませんでした。おそらく、私と著者との経歴の違いが経験の違いとなっているだけだとは思いますが。もっとも、それが「そういう捉え方もあるか」と感じる場合もあります。

●説明が詳細すぎたり、逆に無かったりする
 妙にこだわって小難しく説明している部分と手抜きやそもそも説明自体が無い部分があり、アンバランスに思えました。

●惜しい、勿体ない!
 なんでここまで来て一般化線形モデルとモデル選択まで行かないんだ! もう伏線はバッチリやないか! ということで3作目は分散分析から始まり一般化線形モデルまでと予想!

●自主計算用にRによる解説が欲しい
 統計手法の習得において自分で計算するというのは大変重要なことです。それが統計ソフトに計算させるだけであっても、やはり重要なことに変わりありません。データを弄くったり、捏造したり、与えるパラメータ値を変えたりして何度も実行してみることで初めて分かることもあるでしょう。そういうときに無料で利用できないソフトウェアで解説されても困ります。というわけでRになるわけですが、この本にはもちろんRによる解析手順の説明はありません。そこで、中澤先生の『Rによる統計解析の基礎』および間瀬先生らの『工学のためのデータサイエンス入門』をこの本の後に読むことをお薦めします。特に後者は説明が簡潔すぎて素人には理解不能なんですが、構成としては本書と類似点が多いので相性は良いのではないかと思います。

Go to front page
Comments and TrackBacks
Web antenna system: NaTsuMi
Search in this site
Access Count : 1985964