幾霜::残日録::2005/08/22 (月)

 

移籍先を探しています。系統樹推定法やメタバーコーディング法などに詳しい研究者を探している方がおられましたらご一報下さい。

2005/08/22 (月)

ピカドン - 19:59:37

 輝く空。煙る雨。轟く雷鳴。青葉山は大変。

追記 - 20:03:14
 うわ、近くに落ちた! ヒェー! 流石にこんだけ近いとちとビビる。

産総研地質調査総合センター - 15:57:18

 旧地質調査所。地質文献データベースや地球科学データベースが充実しています。日本語文献も含めた日本周辺の地史資料の探索に便利です。

ABI 3130 - 15:11:47

 以前、今度購入するシークェンサはABI Prism 310だと聞いていたんですが、いつのまにか3130に変更になったようです。ウヒョー。
 で、気になるのは3730xl用のPOP-7が使えるのかどうかという点。旧機種である3100では3700用のPOP-6が使えましたので、それに期待。何せランニングコストがシャレにならないくらい変わりますからね。

生物学専門書が売れない - 05:25:21

 さもありなん。何せ私の周辺で教官以外に私よりも蔵書量が多い人はいないくらいですし。東北大なのに。ちなみに私の蔵書量は大体180x80cmの本棚が埋まるくらいですね。あくまで大学においてある分だけですが。これでもさほど多くはないでしょう。

 まぁ何と言うか、ちょっと買われない理由を考えてみると(買ってる私が考えてもしょうがないかもしれませんが)、最大の理由は「高い」ということでしょう。昔と違って学生の出費は確実に増加していると思いますが収入はさほどでもないと思います。つまり同じ値段でも相対的に高価格に捉えられてしまうということですね。実際、私と、私の次に蔵書量の多い人の共通点は「バイトを一切しなくても困らない程度には実家が裕福である」ということですから、お金の問題は確実にあるでしょう。
 次の問題は「本は嵩張る」ということと「インターネットや図書館がある」ということの合わせ技でしょうか。信頼性はともかく情報量や検索性では書籍とインターネットは比ぶべくもないのは明白でしょう。まぁその信頼性が全然違うわけですが。嵩張るし高いのでは就職予定の学生が本を買わないのも無理は無いでしょうね。純粋に面白い専門書が少ないのも影響しているでしょう。でも図書館の利用も減っているような気がするのはちょっと謎です。知に対する渇望自体が減っているのかもしれません。レポート課題が出たときやテスト直前だけ賑わうので、バンバンレポート課題を出すと良いかもしれません。あまり出すと誰も選択してくれなくなる諸刃の剣ですが。必修科目でやれば非常に効果的。わざと図書館には入れさせず、生協に平積みさせるようなワルダクミもいいんじゃないですかね(笑)。

 さて、出版界ができるのはまず値下げと小型軽量化でしょう。著者ができるのは無償公開ですね。PDFで公開すれば読む人は確実に増加するでしょう。うまく宣伝しないと書籍の方がマシということにもなり得ますが。PDFを印刷するよりは安い値段で、読みやすくレイアウトした本出すのは良い手段ですね。PC関連書籍にそういう手法で上手くいっているものもありますし。しかし、いっそのことFreeStyle Wikiなどで随時アップデート可能な形で出してしまうのが私の希望ですね。

 とまぁ適当にいくつか対策を挙げましたが、究極の策があります。これしかないですよ。
マンガ化
これ最強。マンガ日本の歴史とかマンガ恐竜入門の威力を見よ(笑)。あれは小学生向けですけどね。まぁマンガでは伝えようが無い情報もありますがそれはうまく文章と組み合わせて何とかするしか。しかし本を作る手間が大幅に増えてしまうじゃないかと言われるでしょうけど、しょうがないです。でも値段を上げてはダメです。ただ、全てをマンガ化する必要は無くて、入門というか、とっかかりというか、その分野の面白さが分かるようなマンガが1冊あればいいでしょう。それだけでその分野の書籍の売り上げは増えるんじゃないかと思いますよ。マンガが無理or嫌なら新書という手もあります。絵本とか写真集も良いでしょう。とにかくとっかかりの本としてはお堅い装丁のハードカバーで¥4,000オーバーなんて論外ですよ。そりゃ私だって買わない・・・ってこともないですが普通の人は買わないでしょう。

津軽海峡の成立 - 03:31:49

 成立した年代といっても、最後に成立した年代の話。

 Oba et al. (1991)、大場ほか (1995)、池原 (1998)によると、

3万年前から1万5千年前まで−日本海は外洋から孤立し、その周辺域の河川あるいはアムール川からの淡水が流入したため、表層水は低塩分化し、成層構造が形成され、その結果水深500m以深の海底は無酸素状態となり、ほとんどの底生生物が死滅した
1万5千年前以降−親潮が流入し深層水の通気性が回復した=津軽海峡の成立
1万年前から8千年前−対馬海流が一進一退を繰り返しながら流入した
8千年前−対馬海流は本格的に流入し、日本海は現在の状況になった

とされていますので、津軽海峡の確実な最後の成立は1万5千年前でしょう。ただ、1万5千年前以前に親潮が流入していなかっただけで、浅い海峡、というか日本海という巨大な湖の太平洋への流れ出しがあった可能性はあるかもしれません。また、陸が繋がっていたとしても森や草原が繋がっていたかどうかは不明です。

 とりあえず、K.O.氏とかM.K.氏の著作は信用しない方が良いです。この手の分野の人たちが欲しがりそうな都合の良い情報が書かれてますが根拠が無いも同然の代物です。引用するなら最低限、古環境・古気候の本当の専門家に確認して下さい。もちろん、私がここに書いたことも疑ってかかるべきなのは同様です。

 情報が増えれば増えるほど、「こうだ!」と言えなくなってきます。「それはない」or「そうとは言い切れない」ということを示す情報の方が圧倒的に多いからです。だから現状は情報・能力を持つ人ほど何も結論を導くことができないのです。だから、無能な人間ほど何かを断言できて、本当は空虚な「実績」に支えられて生き残っていってしまう。もちろん全てではありませんがそんな側面があると思います。本来は膨大な情報の中から真実を拾い上げることができるところまで到達した人達こそが生き残っていくべきでしょう。そこまで到達したいものです。同志諸君、頑張ろうじゃないかね(笑)。

引用文献
Oba, T., Kato, M., Kitazato, H., Koizumi, I., Omura, A., Sakai, T., Takayama T., 1991, "Paleoenvironmental Changes in the Japan Sea During the Last 85,000 Years", Paleoceanography, 6, 499-518.
大場忠道, 村山雅史, 松本英二, 中村俊夫, 1995, 『日本海隠岐堆コアの加速器質料分析(AMS)法による14C年代, 第四紀研究, 34, 289-296.
池原 研, 1998, 『縁海の古海洋学−縁海の海洋環境変遷とその重要性−』, 地学雑誌, 107, 234-257.

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