幾霜::残日録::2005/08/20 (土)

 

移籍先を探しています。系統樹推定法やメタバーコーディング法などに詳しい研究者を探している方がおられましたらご一報下さい。

2005/08/20 (土)

分子進化速度変化点を探す - 19:36:34

 というわけでbootstrapは不要なことが判明。もっと簡単な方法。まずNo Clock(全枝で分子進化速度が異なる)で解析。さらに全枝の中から接続している2つを選んでその2枝では分子進化速度が等しいとして解析する。で、両解析を尤度比検定で比較して有意差があるなら、その2枝の接点では分子進化速度が変化していると考える。ここで重要なのは、「全部異なる」と「1カ所だけ非変化点とする」の2つで比較すること。「全部同じ = 1 Global Clock」と「1カ所だけ変化点とする = 2 Local Clock」ではいけない(計算は楽ですが)。何故なら、1点だけでは変化点として有効でなくても、別の1点と組み合わせることで初めて変化点として有効になる場合があるからだ。後者の比較方法ではこのような変化点を見逃す。逆に、本来の変化点でない場所を変化点として誤認する場合もあり得る。

 さらに、上記の変化点探索法で見つかった変化点候補を全部変化点とした場合とどれか一つを非変化点とした場合でさらに尤度比検定を行い、有意差が検出されるまで変化点を減らす。変化点がそう多くないなら候補の全ての組み合わせでモデル選択規準を算出してモデル選択を行う方が私的には好みですね。

 ここで、Yang (2004)のHeuristic Rate Smoothingと似ていると思われるかもしれませんが、それは違う。あの方法はLocal Molecular Clockの最大の利点である「分子進化速度が徐々に変化するという仮定を必要としない」を放棄してその仮定を用いることで変化点を選び出している(ように見える)。しかし当然それではモデル選択で最善のものが選択されるとは限らない。上記の方法とこの方法を多くの場合で比較することで、Rate Smoothingという考え、「分子進化速度が徐々に変化するという仮定」が正しいのかどうかを検討することが出来るかもしれない。

 Yang and Yoder (2003)では、Yoder and Yang (2000)を拡張し、データパーティション(多くの場合、各コドンや別々の遺伝子領域)毎に異なる分子進化速度変動仮説を設定できるようにしている。しかし、私はこの方法が有効だとは思わない。多少ならともかく、それぞれ単独での解析で選択される分子進化速度変動仮説が全く異なるのなら、どれか、もしくは全てのパーティションがそもそもデータとして系統解析に不適当であると考えた方が良いだろう。分子進化速度の変動は「分子進化を起こす要因」と「分子進化を淘汰する要因」によって決まるはずだ。前者は有効集団サイズや生息環境、生活環の影響を受けるが、同じ個体の異なる遺伝子で効果が全く異なるということはあまり考えられないように思う。つまり、分子進化速度変動仮説が全く異なるのなら、「分子進化を淘汰する要因」が全く異なるのだと考えた方が良いだろう。それはその遺伝子が「自然選択の作用を受けている」ことを示すものであり、「中立説に従っていない」ということだ。そのような遺伝子は系統解析、ましてや分岐年代推定にはとても使えない。しかし、特定の遺伝子が選択圧を受けているかどうかを検出する方法としては使えるかもしれない。

 で、当初の目標のように、異なる樹形を与えて上記探索法を適用し、選択されたものどうしをまたモデル選択規準で比較することで樹形選択にも応用することが出来る。根点の異なる樹形を与えて比較すれば、根点探索法としても応用できる。うーん、なかなかいいんでないかい? 計算量を除けば。肝心のPAMLは収束計算があまり得意ではないようで、よく「convergence?」とか言って終わる。単純なNewton-Raphson法が使えないのでそれも致し方なし。何度か同じ解析を計算させるとうまくいくこともあるので、成功するまでリトライを繰り返すしかないようです。

n個の中からi個選ぶ組み合わせをリストアップする - 05:20:32

 ってPerlでどう書けばええんやろか。i=2ならforeach2段でいいんですが・・・うーーん?

あ・・・ - 03:05:34

 PAMLで何故かできないできないと思っていたことができなかったのは私が仕様を理解していなかっただけだったことが判明。なにぃー! 尤度比検定だけでアレができるやん! マイガっ! 今までの艱難辛苦は何だったんだ! むきーーーーー!

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