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Title
PDA研究室 - Zaurusでの電子書籍/メール閲覧と辞書との連携

私は、PDAとしてPowerZaurusMI-C1を日頃愛用しています。
これを選んだ理由は電子辞書としての利用ができることと、適度なサイズ/重量でした。
内部環境/周辺機器はまたそのうち書くこととして、今回は電子書籍ビューワMOREソフト(Zaurusではユーザが追加できるアプリケーションをこう呼ぶ)「TTVBookReader」と、こいつと連携できる電子辞書ソフト「ZPDVIEW」について述べます。
また、メール閲覧をはじめとして様々なソフトとの汎用の連携方法についても後で述べます。
この方法を使えば、読み書きの時など、いつでもワンタッチで辞書が引けます。
TTVBookReaderが対応するのはテキスト形式とエキスパンドブック形式の書籍です。
ちなみに、以下にあることを参考にしてデータ消失などの被害が出ても当方は一切関知いたしません。
自己責任において実行して下さい。

何ができるのか、何が良いのか

これらのソフトにより、電子書籍を読んでいて、辞書で引きたい言葉があればそれをなぞるだけで広辞苑で検索される、といった環境が構築できます。
後で述べる方法を使えば、電子書籍を読んでいるときでなくても、「TTVBookReader」でなくても、範囲選択してタッチ一発で検索できます。
例えば、メールを読んでいるときなどにも便利でしょうし、保存しておいたWebページを読んでいるときにも利用できますし、何か書いている時に書いた単語の詳しい意味を調べることもできます。
(ちなみに、Zaurusのユーザでパーソナルデータベースを使用している方で主に検索閲覧をしている方、絞り込み検索さえ必要なければいつでも検索できるので、この方法は結構使えるかも知れません。データ作成にはPCが必要ですが。)
私の場合、NatureJapanが毎週提供している注目記事の日本語要約をInternetExplorerでテキストに保存しておき、それだけでは表示に支障があるので多少Perlで加工編集したものをCompactFlashにカードリーダで保存し、TTVBookReaderで読んでいます。
こちらの方法で生物学辞典をZPDVIEWで使用できるようにしてあるので、分からない単語が出てきたらなぞるだけで生物学辞典を引けるという極楽環境です。

必要なもの
  1. TTVBookReader
  2. ZPDVIEW
  3. PDIC for Windows
  4. できるだけ大容量のCompactFlash
  5. PDIC形式にできる辞書(詳述は下記)
ただし、2以降は内蔵辞書しか利用しなければ不要です。
CompactFlashを使用されていない場合、CompactFlashを挿しておくと起動が劇的に遅くなることに注意して下さい。(初回が最も遅いが2回目以降も何も挿さないよりはずっと遅い。)
先に挙げた「できること」よりも高速性を重視する方は手を出さない方が良いかも知れません。
特にスケジュール管理やメモなどの高速性を要求される使用法をされている方は要注意です。

インストール

TTVBookReaderはZaurusMORE配布用圧縮ZAC形式とZIP形式の2種類で配布されています。
インストールには
  1. ZACをZaurusに直接ダウンロードし、本体MORE管理機能で展開インストール
  2. ZIPをダウンロードして同サイトのZGZ圧縮解凍ツールを使用してZACに展開し、インストール
  3. パソコンにZIPをダウンロードして展開し、ZACにしてからカードリーダ経由でCompactFlashに転送する(__ZAURUSディレクトリに置く)かMOREソフトダウンローダで転送(要連携キット)し、インストール
  4. パソコンにZIPをダウンロードし、3と同様に転送して2と同様に展開し、インストール
  5. パソコンにZACをダウンロードして3と同様に転送、インストール
などの方法があります。
ZPDVIEWはZAC形式とLZH形式で配布されています。
LZHの展開にはLHZ for Zaurusを使用する以外はTTVBookReaderと同様にしてインストールできます。
しかし、MI-C1の場合は内蔵辞書を利用するならZPDVIEWは必要ありません。
電子書籍の入手先はTTVBookReader配布元にリンクがあるのでそちらを参照下さい。

TTVBookReaderの設定

まずは、読みたい電子書籍ファイルをTTVBookReaderが扱える場所(Zaurus本体メモリ/CompactFlashのルートディレクトリ、__ZAURUSディレクトリ、BOOKSディレクトリ、BOOKS2ディレクトリ)に置いて表示させてみましょう。
ここで、「操作メニュー」キーを押すとメニューが表示されます。
表示方向、文字サイズ、文字間隔、行間隔、ルビ表示/非表示、画面端余白サイズ、表示色、キー/タッチ操作、スクロールバー表示/非表示、改行調整、なぞったときの動作の設定ができます。
各種表示設定はお好みに設定したら、「お気に入り-現設定保存」でお気に入りから一発で設定を呼び出しができます。
さしあたっては、縦持ち縦書き、縦持ち横書き、横持ち横書き、横持ち縦書きをそれぞれ気に入った設定で記憶させておけばいいでしょう。
英語データと日本語データを両方閲覧する方はそれぞれでお気に入りを用意するようにしておくのも良いでしょう。
私としては、データのあるディレクトリ毎に設定を保存しておき、データを表示する時点で勝手に設定を変更してもらえるとありがたいと考えていますが、現在のところはできません。
それはさておき、ここで重要なのは「その他設定-なぞると」の部分です。
ここで「検索」を指定しておくと、文字をなぞって反転表示(Windowsでのドラッグ選択に当たる)させたとき、データ内の文字列検索、内蔵辞書での検索、外部辞書(ZPDVIEW)での検索を選ぶ画面が表示されます。
「外部辞書」なら自動的にZPDVIEWが起動されて最優先の辞書(辞書は12個まで扱える)で検索されます。
「辞書引き」なら内部辞書が起動されて検索語欄に反転させた文字列が入力される。(検索は辞書を選ばないとされない)

ZPDVIEWと辞書の用意

では、次に辞書を用意しましょう。
ZPDVIEWで扱える辞書ファイルはPDIC形式のものです。
PDIC形式の辞書を作成するにはPDICが必要です。
残念ながらPDICはWindows版しかありませんので、MacやUNIXユーザの方はWindowsユーザの知り合いにでも頼むしか辞書を用意する方法は無いと思います。(英辞郎はCD-R郵送サービスでPDIC形式も付けてくれますが)
変換時には「Hyper辞書形式」にして下さい。

英和。和英辞典(フリー)

英和・和英辞典が欲しければ英辞郎を用意しましょう。
こいつは世界最強の英和辞典だと思います。
WebサイトでCD-R郵送サービスをしていますのでNiftyユーザでない人はこれをご利用になると良いでしょう。
Niftyユーザでもダウンロードが大変ならこれを利用した方が良いと思います。
英辞郎は郵送してもらえばPDIC形式のファイルが付いていますのでそれを利用すれば良いです。
MI-C1などのメモリの多い機種ならそのまま使えますし、英辞郎と和英辞郎を一つにまとめて使うこともできます。
メモリの少ない機種でも使う方法は後で述べます。
英辞郎だけで約30MB以上、和英辞郎も合わせれば65MB前後のサイズになると思います。
ただし、これらは頻繁に更新されているため、このサイズになることを保証はできません。

国語辞典(フリー)

国語辞典でフリーなものは私立PDD図書館のものを「フルパワー全開ZAURUSのページ-辞書情報」の変換用Perlスクリプトで変換するのが良いでしょう。
これらのPerlスクリプトの動作にはperl/jperlが必要です。
jperlのインストールはこちらのActivePerl&JPerlのインストールをご参照下さい。
ただし、出力されるのはPDICテキストなのでPDICPDIC形式に変換する必要があります。
変換時は、「登録項目」を「日本語訳、用例」のみに、「同一単語の処理」を「改行付きで付け加える」にします。
人名辞典も変換して国語辞典と一つのファイルにまとめるのも良いでしょう。
ただし、重複するものがあるので、「同一単語の処理」を「長い方の日本語訳を採用」の設定で変換しましょう。
(変換先辞書ファイルに既に存在するファイル名を書いて質問されたら「マージする」を選べば一つにまとめられます)
完成する辞書は10MB前後ではなかったかと記憶しています。(今は広辞苑なので)
これも更新されていますので現在ではより大きくなっているかも知れません。

国語辞典(非フリー)

岩波 広辞苑第4版 カラー版 EPWING CD-ROM版をこちらの方法に従ってPDIC形式に変換することができます。
EPWING版でなければならないことに注意して下さい。
EPWING版でも最新の第5版は特殊な圧縮・暗号化処理がなされているらしく、テキストに出力できないため変換できません。
できる辞書のサイズは40MB前後になるはずです。

その他

岩波 生物学辞典第4版 EPWING CD-ROM版をこちらの方法PDIC形式に変換できます。
他にも、一般的なEPWING形式であれば工夫次第でPDIC形式に変換できると思われます。
例えば、月刊アスキーではEPWING形式のコンピュータ用語辞典などが添付されていることがあります。
こういったものも、変換できないことはないと思われます。

PDIC形式辞書が用意できたら

「WOBP00XX.DAT」(XXには00〜11を小さい値から適宜指定)というファイル名にして本体メモリかCompactFlashの__ZAURUSディレクトリに置いて下さい。
標準で使用したい辞書を「WOBP0000.DAT」にしましょう。
TTVBookReaderでなぞって検索したときに最初に検索される辞書がこれになります。
TTVBookReaderの挙動は、ZPDVIEWを呼び出したときは最優先の辞書で自動的に検索されるようになっています。
最優先の辞書以外で検索したい場合は、ZPDVIEWが呼び出された後で、辞書選択のプルダウンメニューから希望の辞書を指定すればその辞書で検索されます。

閲覧と辞書引き

実際の手順はこうなります。
まず、読みたい書籍ファイルをMOREソフトダウンローダでパソコン接続キットを通じて転送するか、カードリーダでCompactFlashに転送します。
既に述べたようにTTVBookReaderはZaurus本体メモリ/CompactFlashのルートディレクトリ、__ZAURUSディレクトリ、BOOKSディレクトリ、BOOKS2ディレクトリに置いてあるファイルが扱えます。
転送したら、TTVBookReaderを起動して目的のファイルを表示させます。
ここで、TTVBookReaderの設定でなぞると外部辞書(ZPDVIEW)を引くようにしておきます。
読んでいて辞書を引きたくなったら、画面をなぞって文字列を反転表示させ(範囲選択し)ます。
すると、自動的にZPDVIEWが起動して最優先になっている辞書で検索されます。
さらに、説明文中に分からない単語があったり、「→」などで参照先が示されていたりしたら、それをまた範囲選択してZPDVIEWの[検索]を押せばその言葉が引けます。(連続検索)
連続検索機能は本体内蔵辞書にはありませんし、後で述べる汎用連携法でも内蔵辞書同士では連携できないのでダメですし、内蔵辞書とZPDVIEWとの連携も両方向共に何故かできません。
このせいで内蔵辞書が途方もなく使えないものにすら見えてしまいます。(実際にはそこまでは言えないと思うが)
しかし、私が英辞郎、広辞苑、生物学辞典はともかく、和英辞郎が捨てられないのはこのためと言っても過言ではありません。
おかげで128MBのCompactFlashが殆ど占有されてしまいます。
ちなみに私のお薦めの辞書は優先順に、
  1. 広辞苑 or PDD図書館国語辞典+人名辞典(必須)
  2. 英辞郎(英文を読むならむしろこれの方が重要)
  3. 和英辞郎(和英辞典を頻繁に利用し、連続検索に価値を見いだすなら)
  4. (と私的には生物学辞典)
といったところでしょうか。
資金、CompactFlash容量などを総合的に考えてどれを使うか判断しましょう。

辞書データ縮小・メモリ量の少ない機種でも利用できるようにするワザ

残念ながら、メモリの少ない(パソコンのメモリに当たる部分、パソコンのHDDに当たる部分のことではない)機種では大きな辞書ファイルが扱えません。
しかし、大きな辞書でも、複数に分けることで使用できるようになります。
例えば、広辞苑第4版をPDIC形式にすると数十MBのサイズになり、メモリの少ない機種では検索時にメモリ不足になります。
これを、PDICテキストの段階で複数に分割します。
例えば、「あ〜の」と「は〜ん」という風に。
2つに分割してもエラーになったら3つに分けましょう。
これをそれぞれPDIC形式に変換します。
そうすることで動作に必要なメモリが節約でき、メモリの少ない機種でも利用できます。
また、PDIC形式の時にテキストエディタで全データのうち、半角にできる部分を全て半角にしておくなり、PDICの変換詳細設定で、「全角>半角変換を行う」をチェックしておくことでデータ量が節約でき、これも動作メモリの削減に繋がるでしょう。
ただし、TTVBookReaderは辞書に検索語データを渡すとき、たとえ元データが半角であっても全角で渡してしまう上、ZPDVIEWも全角/半角同一視非対応のため、直接なぞって即検索はできません。
TTVBookReaderの2000年11月24日辞典での最新β版では、作者の方にお願いして検索での全角/半角変換機能を実装していただきました。
そのため、「なぞると-検索」に設定しておき、ZPDVIEWは検索ボックスからも呼び出せるので、
  1. なぞって反転表示
  2. 自動的に検索ボックス起動
  3. [→半角]をタッチして検索ボックス内の文字列を半角化
  4. 外部辞書にタッチしてZPDVIEW呼び出し
という手順になります。
随分手順が増えてしまいますが、辞書が巨大だとその分辞書データの半角化も効いてくるので容量の削減と辞書引きの簡便さを天秤に掛けて重い方を優先しましょう。

汎用連携法

実は、Zaurusでは特に連係機能が無くても、とりあえずテキストを範囲選択して反転表示させたら、すぐにZPDVIEWを直接起動させれば、選択されていたテキストがZPDVIEWに渡されて検索されます。
つまり、「範囲選択→インデックス→ZPDVIEW/内蔵辞書」でも検索が容易にできるわけです。
TTVBookReaderZPDVIEWの連携も、これを利用して単にテキスト選択後に自動的にZPDVIEWが立ち上がるようにしてあるだけのように思われます。
これは内蔵辞書でも同様です。(内蔵辞書では単に検索語欄に入力されるだけで検索まではされない。)
ただし、パーソナルデータベースIIユーティリティでは残念なことにできないようです。
他にも、ブラウザでもできないみたいです。
そのような場合は一旦クリップボードにコピー(複写)して、「貼付」しないといけませんが、一応使えます。
また、上記の容量節約法で辞書データ半角化をしてある場合は全角の検索に難があることに注意しましょう。
同様に、辞書データが全角の場合は半角文字列の検索に難があることになるでしょう。
(ZPDVIEWの作者、小笠原さんに全角/半角同一視設定を用意して欲しいとは伝えてありますが、他の作業で手一杯のようです。)

ここで、この機能をより有効に利用する方法があります。
と言っても、単に「→インデックス」の手間が省けるだけですが、インデックス描画時間が短縮される上、インデックスにアイコンを置く必要も無くなるのでインデックス利用時にも描画が高速になるという効果もあります。

で、具体的な方法。
ZaurusにはSYSTPREF.TXTというテキストを記述することでダイレクトキー(アドレス帳とかスケジュールを直接呼び出せるハードウェアキーの総称)に任意のアプリケーションを割り当てることができます。
この機能を利用して、ダイレクトキーにZPDVIEWを割り当ててしまうわけです。
しかし、ここで問題となるのが「じゃあ元々割り当てられている機能を呼び出しにくくなるやん」ということですが、少し面倒ですが「機能」キーを使うことで解決します。
まあ、それはさておき、SYSTPREF.TXTの記述方法ですが、実はとめらさん作の「アプリ起動設定ツール」によって簡単に記述できます。
というか、こいつが勝手に書いてくれます。
また、これも少し手間は増えますが(それでもインデックス呼び出しよりマシだと思う)、よく使うソフトが沢山ある人はTLaunch/TLaunch2ZiTopなどのランチャーからZPDVIEWを呼び出すのも良いかも知れません。(動作未確認)

どのキーに割り当てるのか

まあ、アプリ起動設定の操作法は見りゃわかるだろうということで操作法は省略して、具体的にはどこのキーに割り当てるのかということが問題になります。
既に書いたようにうかつに「アドレス帳」キーなどに割り当てるとアドレス帳の呼び出しが面倒なことになります。
それでもアドレス帳をあまり使わなければそれが一番良いでしょうが、アドレス帳もスケジュールもとにかく全てのキーを使う人の場合、「機能」キーとの併用がカギになります。
(私はスケジュールを使わないので「スケジュール」キーにZPDVIEWを、「機能+スケジュール」に内蔵辞書を割り当てています。CompactFlash使用時の起動の致命的遅さのためスケジューラとしては実用にならないと判断しましたのでスケジュールには紙の手帳を未だに使っています。)
併用と言っても、同時押しではなくて「機能」をタッチして画面左上隅にアイコンが出てから各キーをタッチするというものです。
ただし、「機能+ツール」は画面情報出力のコマンドが割り当てられており、置き換えもできないのでこれに設定しても無効です。
というわけで、全てのキーを使う人は「機能」キー併用の「ツール」キー以外に割り当てられると良いでしょう。
ついでにここでよく使うソフトを色々登録しておくと便利かも知れません。

設定が終わると、簡易リセットがなされます。
これはSYSTPREF.TXTの作成/変更を有効にするために必要です。
このあと、時計の設定を確認してから起動したら一度動作を確認してみて下さい。
メールなどの文字列を範囲選択して設定したキーをタッチしたらZPDVIEWが起動して最優先の辞書で検索されることを確認しましょう。

追記
現在はダイレクトキー割り当ては変更し、私のZaurus環境(12/02/2000)のようになっています。
手帳の持ち歩きが面倒だったのでこうなりました。
でもまた手帳に戻りそうな。(笑)
もう何度も行ったり来たりなんですけどね。 [an error occurred while processing this directive]
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