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PDA研究室 - Linux ZaurusのGUIデザインにもの申す(05/11/2003)

 いよいよ我慢がならなくなってきたのでこの辺で一発かまさせてもらいます。

 初のLinux Zaurusが発売されてもうずいぶん経ちました。SL-B500/C700が発売されてからもまぁまぁ時間が経ちました。このたび、遅ればせながら私もSL-C700に長い時間触れる機会があったので、今回はSL-C700のGUIについて徹底的に叩こうかと思います。漢字変換エンジンと動作の緩慢さにも言いたいことがありますがそれはまた別の機会で。

 さて、PDAに求められるGUIとはどのようなものでしょうか。その普遍的な答えは勿論私も持ち合わせてはいません。しかし、私なりの答えは持ち合わせています。まず、PDAとPCの根本的で最も大きな違いは何なのかを考えることにしましょう。それは、「物理的なサイズ」に他なりません。PDAでは物理的なサイズが制限されるために、当然ながら「無駄なスペース」を持たせている余裕はありません。無駄なスペースを削り、デザインによって画面を広く使えるようにすることで低解像度、小サイズのLCDを生かしきることがPDAのGUIデザインには必要不可欠なことでしょう。この点ではPocketPCがかなり良い線行っているとは思います。MSが学習して設計し直しただけのことはあります(私はMSのGUIデザインはかなり上手いと思っています)。が、キーボードとより高解像度なLCDを搭載したマシンに最適化がなされていませんね。キモは「無駄なスペース」です。

 ZaurusのQtopiaによるGUIの何が問題か。そう、「無駄な画面スペースが大量にあること」です。それ故にせっかくのVGA液晶も効果半減です。何のためのVGAか。「死にスペース」のためのVGAなのか。否。断じて否。絶対にそんなのは認められない。広い画面は広いワークスペースのためであるはずです。

 ここでPDAのGUIとPCのGUIには大きな違いがあります。それは「マルチウィンドウ」です。ほとんどのPDAは「マルチウィンドウ」なGUIではありません。個々のアプリケーションは常時最大化されており、複数の小さなウィンドウを重ね合わせて作業を行うということは基本的にありません。これはPDAの物理的サイズ制限から言えば当然です。しかし、これにともなって不要になるはずのものがLinux Zaurusでは撤廃されていません。この点はMI Zaurusでも基本的に同じです。それはズバリ「タイトルバー」です。こんなものは不要です。マルチウィンドウ環境でウィンドウをポインタでつかんで移動させる以外に用途がないものです。非マルチウィンドウ環境では全く必要ない代物です。マルチウィンドウ環境でも最大化アプリには必要ありません。こんなものは即刻なくすべきです。

 もう一つの大きな「死にスペース製造機」があります。SL-B500/C700ではキーボードを搭載しています。キーボードは何のためにあるのか。それは高速な入力と高い操作性のためにあるはずです。キーボードがあればショートカット一発でアプリケーションの切り替えなどできるはずです。それがなんですか。「タスクバー」なんてものがなんであるんですか。こんなものは要りません。ゴミですよ。ゴミ。っていうか明らかに損害を受ける分むしろ産業廃棄物だろ。何考えてやがるんだGUI設計者は!! センス無さ過ぎ。っていうかUNIX・オープンソース系プログラムでGUIデザインのセンスを感じさせるアプリケーションにほとんどお目にかかったことがない私としては、まあこれも当然の結果かなという気はしますが、その中でも最もましだと思える「KDE」で使用されている「Qt」を作っているところが作ったんだから私は期待していたんですよ。それがこの結果。PDAとPCの違いを全く理解していないのでしょうね。

 他にもアイコンがやたらでかい、その割に文字が小さいとか、どう考えてもおかしすぎなところが満載。アイコンとテキストの最適なサイズが選べるようにもっとスケーラブルなGUIであるべきなのではないか。確かに、非マルチウィンドウ環境では複数ウィンドウが少しずつ重なり合うこともないし、ウィンドウリサイズもないのだから、ウィンドウのスケーラビリティは必要ないのですが、ウィンドウ内コンポーネントのスケーラビリティは必要なはずです。スケーラビリティの必要性はこれだけにとどまりません。将来的にPDAの解像度はこれからも上昇していくことが容易に予想できます。それを考慮に入れればウィンドウそのもののスケーラビリティも必要でしょう。もっとも、これは現在のWindowsでも十分に実現されていないことですし(Longhornはついにこの点が改善されるようです)、これらの実現には相当なプロセッサパワーが必要になるかもしれませんが、より多くのサイズのフォントを用意したり、GUIのカスタマイズ機能を用意したりすることは現在の技術、プロセッサパワーでもできるはずです(Windowsではタイトルバーを無くすことはできなくてもかなり小さくすることはできますし、タスクバーは隠せるでしょ)。

 さて、PDAの最大のネックは物理的なサイズであることは既に述べましたが、では、物理的に小さなサイズで、死にスペースを無くした上で更に多くの情報量を扱うにはどうすればよいのでしょうか。WACOMSmartScrollはその質問に対する一つの回答を示してくれています。その答えとは、「拡大縮小と自在なスクロール」です。一画面に表示できる情報量が少なくても、縦横斜めスクロールが「簡単に」できるだけで相当にその利便性は高まるものです。SmartScrollは更に「拡大と縮小」を組み合わせることで、縮小して広く画面を見渡せるようにし一度に多くの情報量を参照すること、一部を拡大してじっくり見る確認することができます。これこそまさに小さい(そして高密度LCDを搭載した)PDAに最適な機能ではないかと思います。SmartScrollのようにスクロールボールを搭載するのはサイズの都合上難しいでしょうが、PDAは既にタッチパッドを搭載しているのですから、それを利用すればハードウェアの追加無しにソフトウェア側だけで実現可能なはずです。例えば何かのキーを押しながらスクロール可能な領域をドラッグでスクロール、別のキーを押しながら上下にジェスチャー(もしくはジョグでもいいけど、小型化のためにジョグ撤廃でもいいと思う。ソフト側の実装で画面タッチでも不都合ないようにできるはず)で拡大縮小のように。これが実現されれば、スクロールバーはスクロールするためではなく表示している領域がどこかを知るためにしか使われなくなり、より細くすることが可能になってワークスペースを更に広くとることが可能になります。このためにも、ウィンドウ内コンポーネントのスケーラビリティは必要なのです。

 以上のように、一つ一つは小さいことかもしれませんが、これらを全て実行すれば現在よりも相当ワークスペースが増え、使い勝手も改善されるはずです。私はこの程度のことを何故PDAメーカー各社がやらないのかまったく理解に苦しみます。ぜひとも各PDAメーカーには実現に勤しんで頂きたいと思います。

05/10/2003

 とか言ってたら、どうも、sigmarionIIIのPicselBrowserって、このアプリだけですけど「拡大縮小と自在なスクロール」を実現しているみたいですね…。うーん、コレが表計算、PDF表示とか画像表示・編集でできると携帯機器の革命になると思うんですが。あと、拡大縮小操作でスケジューラの表示が「年←→月←→週←→日←→午前・午後」とか操作できたりしたら面白いと思うんですが。今どうやったっけ? C700遅すぎてPIMには使えへんから知らへんなぁ。

05/11/2003 [an error occurred while processing this directive]
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